歴史散歩 ぶらり長町 ポイント31:広瀬橋たもとの2基の道標
広瀬橋の長町側は、近年根岸から八本松へ抜ける河畔通りができて一変してしまいましたが、橋のたもとのレンガ色の高層マンション前に、玉砂利が敷かれた「門前道」と「多賀神社道案内」の2基の道標が建っています。昭和50年頃道路工事などによって仙台市博物館の裏庭にひっそりと移設されていましたが、2基とも地域住民の願いがかない、仙台市の理解もあって平成9年に里帰りしたものです。
昔は、市の中心部から門前町、西多賀方面へ向かうのに、広瀬橋を渡り、ここで折れて道標前の道を通るのが一般的なルートでした。そのため、通行人の目印となるようにいずれも明治40年代に建てられました。
「門前道」の道標は、全く同型、同材の道標が長町3丁目の「笹谷道」や鈎取、赤石、秋保にも現存しており、行政によってこの地域の道路に同時期に整備されたものと思われます。「門前道」には大年寺と県の総合グラウンドに以前あった農学校までの里程が彫られています。
「多賀神社道案内」は大町の商人が建立したもので、寄贈者2名の名が明示されています。西多賀の多賀神社は商人の厚い信奉があったようです。全く同じものが金洗沢橋のそば(西多賀一丁目)にも建てられましたが、こちらは現在折れて放置されたままになっており、表面の劣化が進行しています。兄弟の道標を何とかしてあげたい気持ちになります。
平成9年の住民のささやかな道標復帰祝賀会には、ご協力頂いた市の職員の方ややっと探し当てた寄贈者の子孫の方にも出席頂き、とても感動的なものでした。道標は、時代を超えた、人々の生活の中に息づくシンボルのひとつなのかもしれません。
文・内田貴和(長町歴史の会)
え・阿部重憲(長町3丁目)