★子育て★連載コラム

第56回 年をとるのも悪くない

                                                坂総合病院 渡辺 瑞香子

 

 年齢を忘れてしまいます

 最近つくづく思うこと。小児科では、私と同じか年が上のお母さんにとんと会わなくなりました。そうこうしているうちに私より若いおばあちゃんに時々会うようになりました。病院の見学にきた学生さんが、長男と同じくらいの年であることに気付いて、はっとしたりします。当たり前のことなのだけれど、仕事をしていると気分だけは若いので、年を忘れてしまうのです。家でそんな話をしていたら、「お母さん、今30歳くらいだったら、いくつで僕らを産んだ事になるの?」と次男に真顔で言われて、それもそうだと妙に納得してしまいました。


 年をとっていいこと

 「年をとっていいことは驚かなくなることね。」とは「ハウルの動く城」のソフィーのセリフです。私ならそうだなあ、「年をとっていいことは怒らなくなることね。」でしょうか。医者になって、毎日いろいろな方と接していますが、本当にさまざまな体験をします。私も人間ですから、いつもいつもにこやかというわけにはいきません。若い頃はまるで瞬間湯沸し器みたいでしたね。今は少なくとも患者さんに対して怒るということはめったにありません。それは多分、いろんな視点からものが見えるようになったからなのでしょう。なぜ相手が怒ったのか、なぜ納得してもらえないのか。表に出てこない気持ちを感じ取ることができるようになったということなのだと思います。


 親自身が不安定な状態

 例えば、子どもに関するささいなことへ止めどない不安。それは実は親(たいてい母親)が安心して暮らしていないことの表現形であることが多いようです。夫婦の関係、嫁姑の関係、自分の親との関係、いろいろなことがあります。子育てはわからないことだらけだから、誰だって不安なのですが、親自身が不安定な状態では、なかなか整理して解決するまでに至りません。そんな時は、えてして子どもも病気をしやすいような気がします。精神状態ってひょっとすると免疫の強い弱いにも関係あるのかも知れません。


 子どもたちが幸せになれるように

 また、最近10代で親になる人が増えたような気がしています。昔からいたとは思うものの、生活の術を身につけることもなく、家庭を持つことの重みや責任を自覚する間もなく、子どもができたので結婚して(しないことも)、なかなか大変です。我が家を見ても、自分の頭の蝿も追えないような連中が、親になってしまうわけですから、祖父母の支援がないと立ち行かないと思います(抱えてもらえないケースも多いですが)。彼らを見る目はすっかり姑気分です。せっかく生まれてきた子どもたちが幸せに生きて行けるように、彼らが何とか親として育ってくれるように、寄り添ってあげられればいいなと思う日々です。