予防接種の話
長町病院小児科 渡辺 瑞香子
なぜ予防接種なのか?
予防接種をなぜするのか、じっくり考えてみたことはありますか?今年西日本を中心に麻疹(はしか)が多く発生していますが、成人麻疹が特に問題になっています。子どもの頃に罹らなかったり予防接種をしなかったりした人が増えてきたのでしょう。宮城県では県北部を中心に麻疹が流行しています。予防接種の公的な補助の形態が自治体ごとに非常に違っているために、接種率にばらつきが多くなります。2年間古川の病院にいた経験から言うと古川市内ではポリオ以外は個別接種ですが、他の大崎地区では集団接種で時期も決まっている場合が多く、たまたま体調を崩していれば受け損なってしまうのです。また慢性疾患など個別に配慮する必要がある場合、集団接種では見合わせることがあり得ます。本当は積極的に免疫をつけてほしい弱い子がもれてしまうのです。
苦い思い出
平成6年に予防接種法が改正され、義務接種から勧奨接種に変更になりました。問診票の中に保護者の意思を確認する欄が設けられています。以前にはこれはありませんでした。きっかけは平成元年に開始され、おたふくかぜワクチンの髄膜炎の多発により平成5年に中止となったMMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかせ混合)であったと思います。このワクチンには公的にも私的にも苦い思い出があります。厚生省(当時)の方針が二転三転した挙句、医療機関への通達より先にTVニュースで中止が伝えられたこと。長女と次男が受けたのですが、次男が接種数日後より発熱し耳下腺の腫脹もあって慌ててメーカーに問い合わせたこと(副反応は普通3週目では?)結局別のウイルス感染であることが判明したものの、ちょうどインフルエンザの流行期とも重なり、発熱・体調調査表を記録していた1ヶ月間に3回も高熱を出し、計2週間以上心配をする羽目になりました。以来、予防接種をあまり機械的に進めることには懐疑的になりました。
理想的な予防接種とは
勧奨接種が始って問診票のほかに説明書をもらいます。よく読んで理解してから受けていますか?一つ一つのワクチンにどういう意味があるのかわからずに受けていませんか?たとえば風疹(三日ばしか)です。中学の女子のみが対象であった時は、妊娠中の感染のために難聴や心臓病の赤ちゃんが生まれることを防止することでした。今は1歳以上7歳6ヵ月までの男女児が対象になり、平成15年をもって中学生の接種は終了します。低年齢になったのは、学童で風疹脳炎の発症率が比較的高いためでしょう。産婦人科の先生が心配していました。中学生で接種しても妊娠時の抗体価が低下する例があるのに7歳で終了したら、深刻になるかも知れないと。風疹の流行がないので抗体価が下がる可能性が高いのです。これを防ぐために、女の子は2回受けるような制度が必要だと思います。予防接種は一人ずつ個別のメニューを組むことが理想的です。子どもの人口が減っている今、予算の使い方にこういう面でも工夫してもらいたいものです。