★子育て★連載コラム

第46回 冬に流行する胃腸炎
坂総合病院 渡辺 瑞香子
ノロウイルスの流行
今冬ノロウイルスと言う名前をずいぶん見聞きします。特に新型のウイルスではないのですが、老健施設などを中心に流行し、亡くなった方もおられたため、有名になったようです。牡蠣などの二枚貝が持っているウイルスで、以前から冬の食中毒の原因として知られていました。ウイルスであるため、食品が新鮮であっても、生や加熱が不十分な状態で食べた場合に発症する可能性があります。旅館や食堂などでの集団食中毒の他、今回のように施設内での流行も見られます。病院でも発生した例がありました。飛まつ感染のため、汚染したオムツやシーツ、介護者の手を介して広がっていくのです。
ノロウイルスに感染したら
ノロウイルス感染は重症化することは少なく、2〜3日程度の吐き気・嘔吐(プラス腹痛・下痢)の症状が出た後、回復します。今回亡くなった方の場合は重度の心身障害があって、嘔吐物を詰まらせたための窒息や誤嚥性肺炎であったとの情報です。普段元気に暮らしている方は心配する必要はありません。ウイルスの検査も可能ですが、今の方法では日数がかかり、結果が分かった頃には回復しているため、実用的ではありません。同様の症状は他のウイルスや細菌でも起こり、手洗いをすることと汚染した衣服・寝具などの扱いには十分気をつけることが施設内での蔓延や家族内での二次感染を防ぐために大事なことです。
ロタウイルスにご注意を
さて、小児科医としてはロタウイルスの方が気になります。別名「仮性コレラ」などと呼ばれ、点滴ができなかった時代には乳幼児にとって、深刻な病気で、脱水症状のため命を落とすこともありました。初期には吐き気・嘔吐が出ますが、その後の下痢がひどく、回復までに1週間程度かかり、典型的には「米のとぎ汁様」の白色水様便になります。水分の他ナトリウムなどの大事な成分も失われ、水分が取れるようになっていても、追いつかないこともしばしばです。時々けいれんを起こすお子さんもいます。入院が必要になる場合もあります。
ウイルスに感染したら
胃腸炎を起こすものは他にアデノウイルス、サポウイルスなどがあります。ロタウイルスとアデノウイルスは迅速試験といって10分程度で結果が分かる検査法があります。ノロウイルスも来シーズンには同様の検査が可能になるでしょう。ウイルスを直接抑える薬はまだ開発されていないので、治療は脱水症の対策が中心になります。抗生剤は効果がなく、ウイルス感染と分かっている時は使用しません。水分はナトリウムなどの電解質が含まれているものがよいのですが、市販のスポーツドリンクは薄いので注意が必要です。吐き気がおさまったら、スープ、おかゆ、うどんなどから食事を進めていきます。甘すぎるもの、油もの、味の濃いものなどは回復を遅らせるので、欲しがるままにあげないように。
