★子育て★連載コラム

第45回 少子化の時代に2

                                                坂総合病院 渡辺 瑞香子

 

 人口減少時代の到来

 厚生労働省によれば、2004年に生まれた赤ちゃんは前年より1万7000人少なく、4年連続で最少記録を更新したそうです。出生数から死亡数を引いた自然増加数は戦後最少の8万3000人で、2007年にも「人口減少社会」の到来が現実のものになるとか。人口が減ることは、悪いこととは限らないという意見もありますが、現在のように極端に若い層が少ない状態が続けば、この国から元気がなくなっていくような気がします。少子化対策は、今のところ効果は見られていません。やはり、男女の役割分担の意識が硬直していたり、金銭的な問題だったり、女性の人生の可能性を狭めたりするからなのでしょうね。


 少子化問題・・・現状は

 しかし、少子化を問題にしながら、本当はこの国は子どもが増えることを望んでいないように感じることがあります。例えば、保育所の待機児童が減りません。保育園の数が増えないため、定員に上積みして入所させざるをえません。公立の保育園が減って、民間委託が増えています。補助金を削減するために、幼保一元化(幼稚園と保育園を一つにまとめる)の話も出ています。元々違う役割と歴史を持って発展してきたのに。幼稚園で3歳未満の子の保育のノウハウを確立するには時間が必要。施設基準も低い方に合わせられるでしょう。その上、義務教育費までもが削減されようとしています。落ち着きのない子や手のかかる子が10数年前に比べて増えており、少人数学級などの必要性は増していると思うのですが。


 産後すぐからの支援を

 20年来、小児科医をやっていますが、最近違和感を覚えることがあります。広い意味で虐待と思われる例が増えましたし、子どもがいることを喜べないように見えるお母さんが気になります。産科病棟に新生児の回診にも行きますが、既に問題の芽があるのです。親も、安心して暮らしていない、守られていないということではないでしょうか。妊娠・出産の過程、結婚のいきさつ、家族の対応−そのすべてがその後の子育てと無縁ではありません。個人の努力だけでは乗り越えられないこともあります。産後すぐからの支援の必要性を感じています。スタッフ全体で力をつけなければいけないですね。


 子育ての原点に戻ろう

 三砂 ちずるさんの「オニババ化する女たち」と言う本が話題になっています。題名はとても挑戦的ですが、著者の本当の思いは「子どもは親を許すために生まれてくる」という一言に凝縮されていると思うのです。子育てをして初めて分かる価値観なのでしょうね。愛情深く育てられた人はそのように我が子にも接するのでしょう。親とは折り合いが悪かったり、愛情に恵まれなかったりした人は子どもとの関わりの中で、親の気持ちに気づき、許せることもあるでしょう。私は、子育てとは、自分の人生の生き直しだと思っています。企業戦士に専業主婦に子ども二人−戦後の家庭モデルは、効率重視そのものでした。それが破綻した今、子育ての原点に戻らなければ、何も変わっていかないのではないでしょうか。