★子育て★連載コラム

ウイルス物語4〜りんご病
坂総合病院 渡辺 瑞香子
りんご病の症状
両側の頬がべったり赤くなるため、「りんご病」と呼ばれる病気があります。顔の他にも腕や足にレース状に赤みが出ますが、罹った本人はかゆみもほとんどなく、けろりとしたものです。正式には伝染性紅斑と言います。約1〜2週間の潜伏期間を経て、発症することが分かっています。発疹が出て診断がつく頃には、ウイルスはのどや血液から検出されなくなるため、幼稚園や学校を休む必要はありません。5〜9歳の子に好発し、冬から初夏にかけて流行します。大人も罹りますが、多くは不顕性感染です(症状が出ない)。症状が出ても他のかぜとの区別は難しいでしょう。ただし、ある種の貧血の方がかかると急激に貧血の状態が悪化して、輸血が必要になることがあり、流行期には注意しなければなりません。
ウイルスの感染経路
この病気を起こすウイルスはヒトパルボウイルスB19 と名付けられています。パルボというのは小さいと言う意味だそうです。ごく小さいDNAウイルスの仲間で、1975年に発見されました。小さいゆえにウイルス除去フィルターで除くことが難しく、熱や化学物質による処理にも安定しているため、血液製剤への混入とそれによる感染が問題になっています。通常の感染は飛沫感染によりますが、母体感染から胎盤を通して、胎児にも感染することがあります。
胎内感染の恐れも
さて、通常は軽い子どもの病気の原因という印象のあるウイルスですが、1984年にこのウイルスの胎内感染により、胎児水腫(重度の貧血と心不全・むくみ)を発症することが報告され、注目されるようになりました。母体感染があった場合、約1/3は症状なく経過し、約1/3は胎内感染が成立、1〜2割に胎児水腫、流産、死産が起こるとされています。妊娠9〜16週頃が最も心配な時期にあたります。胎児が盛んに血液を作っている時期で、ウイルスは赤芽球細胞感染するため、赤血球ができず、貧血にいたるわけです。胎児水腫になった場合、約1/3は自然に改善すると言われていますが、約半数は胎児死亡との報告があり、水腫のまま生まれた児の治療はかなり困難です。
主治医に相談を
すでに書きましたが、大人がかかった場合りんご病らしい症状が出にくく、妊婦さんもかかったかどうかの判断は難しいと思います。20〜30歳代では、約70%の方は免疫を持っていないため、感染する恐れがあります。特に子どもと接触する機会の多い職場(学校・幼稚園・保育園など)で働く女性は注意が必要です。妊娠中に周囲でりんご病が流行している時は、産婦人科の受診の時に主治医に相談して血液検査や超音波検査で経過を見てもらうことをお勧めします。
