★子育て★連載コラム   第38回

幸せの青い鳥

                                 坂総合病院  渡辺瑞香子


 最近のこどもたち

 子どもたちは、この頃おかしいのでしょうか。
大人の理解を超えるほどの出来事が起こっています。
いえ、実はおかしいのは大人の方であり、社会のあり方なのではありませんか。

「親の背中を見て育つ」と言う様に、子どもは大人のすることに反応しているのです。
言葉がどんなに立派でも、それが建て前だけならば心には届きません。

生まれたばかりの子どもは、まだどんな色とも決まっていない存在でしょうが、純真無垢というわけではありません。
「神」に近い存在であるだけに、「善」にも「悪」にもたやすく変わりうるように思います。



 日本と海外の子供教育

 今、日本の子どもの生活は、先進国の中では特異なものだと聞いています。
子どもの個室は欧米にならったものでしょうが、TVは普通子どもの部屋には置かれません。
日本ではビデオやパソコンも子ども部屋に置かれ、密室化しています。
TVゲームや映画も残虐シーンや性的な描写が気になるものがありますが、その中ではR-15やR-18指定など意味をなし
ません。

親より遅く寝る子どもは珍しくありません。
幼児期から大人なみに夜更かしの子もいますが、早く寝かせる努力をしない親も見受けられます。
欧米では、子どもの就寝時刻には厳格です。

夜更かしが問題なのは、セロトニン−ドーパミン系のバランスが崩れてキレやすくなり、メラトニンの分泌がうまくいかなくて二次成長が早まる可能性があるからです。


 青い鳥を探して

 昭和30年代生まれの私は、豊かとは言えない日本の姿も知っています。
高度経済成長、田中角栄の「日本列島改造論」、そしてバブルとその崩壊。

この国が目指したモデルは恐らくアメリカの家庭生活だったのでしょう。
広い住居は夢のまた夢であるけれど、モノはあふれ、格段に便利になりました。
しかし豊かな生活も、心の豊かさまでは保障してはくれませんでした。
幸せの形が限られたものになってしまったからではないのでしょうか。

不景気と失業率の高さにあえぐ今、満たされぬ思いが荒れ狂っているように思います。
何と言うか「足るを知る」とか「身の丈にあった生活」のような言葉は日本語から消えてしまいました。
「幸せの青い鳥」はすぐ近くにいたのがメーテルリンクのお話でしたね。
「青い鳥」をどこまでも探し続けて、日本人はとうとう歩くべき道を見失ったのかも知れません。


  本当に大切なものは

 浦沢直樹氏の「Monster」という作品をご存知ですか。
賞を取った作品でもあり、読んだ方も多いのではないでしょうか。

閉鎖された施設の中で「特別な教育」が行われた結果、子どもたちは残虐性を持つことになりました。
そして遺伝子的に優秀な男女の組み合わせで生まれた子どもたちの中に、美しく、優秀な頭脳を持つが、残忍な「ヨハン」という怪物が誕生した話です。
空想の産物とばかりも言えません。

子どもの心を壊すのは、貧しい食生活(ジャンクフードも含めて)、夜更かしと睡眠不足、恐怖と暴力、そして節度のないメディア(ゲーム・ビデオ・TVなど)への接触です。
今子どもたちに必要なのは人間らしい生活の実践ではないのかと私は思います。





   

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