あれは、かつての私の姿。
4歳の時に両親が離婚して、私は、母とも妹とも別に暮らすことになったのです。
いつものように、伯母の家に遊びに行くつもりで母と出かけ、もう家に戻れないことを知りました。
何と言われたかは覚えていないのですが、母の必死の表情に、私には選ぶ余地はないのだと分かっていました。
離婚の理由を正式に聞いたことはありません。
自分なりに理解しているつもりです。責任の大半は父の方にあるだろうと。二人の子どもを育てきれるだけの経済力がなかったのだと。
それでも時々弱気になってしまいます。決断が必要な時飛べなくなるのです。
母に選ばれなかったような気がしてしまうのでしょうね。
リストカットを繰り返す子たち。拒食症になる子たち。道を踏み外していく子たち。その誰もが自分に似ているような気がしてせつなくなります。親に愛されていると自信が持てないのでしょうね。誰か一人でも信頼のできる大人に出会えれば、抜け出せるかも知れない…。
私が泣けなくなったのはいつからだったでしょう。
今まで自分を支えてきたのは、「医師」という仕事に出会えたことと3人の我が子たちだと思います。
結婚や家庭を持つことは、ずっと他人事のような気がしていました。モデルになるものがないのですから。
長男は「やってみようよ」と背中を押してくれ、長女に「子どもがいる女医であることを誇って」と諭され、
次男に「我が子は無条件にかわいいでしょ」と囁かれたように思います。
愛されることを求めていた時には満たされず、愛して守る存在ができて人は強くなるものらしいです。
近頃の世情を反映してか、受診する子の中に、家庭に問題を抱えるケースが増えてきました。
両親ともいなくなってしまった子さえいます。事情はいろいろあるだろうけれど、子どもが生まれてくるとなったら、覚悟はしてほしいものです。
それでも、別離の時は来るかも知れません。
せめて親として誇りを持って、生き生きとした姿を見せて下さい。あなたが暗く惨めであれば、子どもはもっと傷つくのだから。