インフルエンザウイルスはとても「個性的」なウイルスです。
ウイルスのルーツは鳥類であり、本来カモの腸の中にいるのだそうです。
シベリアなどから中国南部に渡ってきたカモから飼育されている鶏やアヒルなどにうつり、
さらに豚にうつる過程で新型のウイルスが誕生すると言われています。
豚はヒトのウイルスにも鳥のウイルスにも感染するため、両方に同時に感染した時に遺伝子が組みかえら
れる可能性があるという仮説です。
今問題になっているのはH5N1という「顔」のウイルスで、これまでにヒトのA型インフルエンザウイルスとして知られているH1N1、H3N2、H2N2の3種類とはかなり違っています。
毒性もかなり強く、気管支や肺だけでなく、他の大事な臓器にも病変が広がっていたそうです。
新型のウイルスがヒトからヒトに感染する能力を持ったら何が起きるのでしょう。
人類全体として抗体がないわけですから、潜伏期間が1〜2日と短く、気道感染を起こすウイルス
が入れば、あっという間に広がるはずです。昨年話題になったSARSの比ではありません。
家族でほぼ同時に発症するので、食事を作ったり、看病したりすることもままなりません。
社会の生産活動は停止するでしょう。
医療機関内での感染防止もかなり困難で、医師や看護師が次々に倒れる事態になったら治療ができません。
人口の減少と経済的な打撃が予想されます。
最短で準備をするとすれば、簡便な診断キットの開発を急ぐことと抗インフルエンザ薬のオセルタミビル
(ウイルスの遺伝子解析により効くと考えられている)の備蓄でしょう。
最悪のシナリオが今すぐ現実になるというわけではありませんが、「疫病」が「戦争」と同様に社会の衰退
をもたらすことは歴史を見れば明らかです。
ヒトの新型インフルエンザの出現を防ぐための鶏の処分と輸入禁止措置ですが、別の側面も明らかになりました。
タイ産と中国産の鶏肉が日本の消費量の17%を占めていたという事実です。
特にタイは経済的に困窮するかも知れません。
折からのBSE騒ぎで米国産の牛肉の輸入停止がされたばかりです。
最も打撃をこうむったのは外食産業でしょう。また、安全を求めて店頭に並ぶ肉類は値上がりするはずです。
日本の食の「豊かさ」がもろいことにも気づかされた事件です。