★子育て★連載コラム   第32回

続 この国の生命線

                                 坂総合病院  渡辺瑞香子


 どちらが受益者?

 バブルの前、「行政改革」が声高に叫ばれていた頃のことです。
「受益者負担」という言葉が何かというと使われていました。
ある討論会の中で自民党の代議士が言いました。
「学校で勉強することで、子どもたちは将来の収入の道を見つけるのだから、義務教育といえども教科書代などは払うべきである。」

大体そんなニュアンスだったと記憶しています。とても違和感がありました。
働いて収入を得ることは生活をしていくために必要なことであって、「受益」なのでしょうか?
「受益者」はどちらかといえば、行政の方ではないかと思いました。
子どもが減ることを心配するのは、労働力や消費者が少なくなるからでしょう。
それはつまり納税者が減ることですよね。 


 構造は変わらず 

 「ゆとり教育」を言う中で、義務教育のカリキュラムがずいぶん削減されました。
小学校の教科書を我が子達は「ご自由におとり下さいのパンフレット」と評しています。
中学校では年度始めに購入する副教材の費用が1人1万円近く掛かります。
「無償」で配られる教科書だけでは不十分なのでしょうね。

娘が「円周率を3.14でなく3で教わることがゆとり教育ではないよね。
中学へいけばπで計算するのだから。
円周率がどうしてその値になるかを理解していないと。」と言いました。

長男も「カリキュラムを減らしただけで理解度が上がるわけじゃない。(成績の人数分布の)ピラミッド構造は変わらないよ。」と言っていました。
なぜ、そんなことが起きているのでしょう。


 教育体制の今後

 例えば少人数学級やチームティーチングは一つの解決作かも知れません。
地域の学校に個別指導学級があって、発達や対人関係の問題を抱える子が他の子達と交流していくこともお互いに大切なことです。

でもどうやらそれも怪しくなってきました。「三位一体改革」と名付けられた、補助金1兆円削減です。
義務教育費のうち約3,100億円を地方に税源移譲する方針だというのです。

それは規定の教員配置の他に、学校ごとの事情に応じて文科省の裁量で配置している教職員や事務職員の給与の分です。
地方の財政事情によっては少人数学級ができず、個別学級などの存在も危うくなる可能性があるということですね。
子どもたちの心は荒れないのでしょうか。




  教育の未来は

 義務教育の課程を修了したら、社会で自立していける。
今の日本はそんな国ではありません。

就職先のほとんどが第三次産業である以上、求められる能力もそれに沿ったものになるはずです。
私はこの国の人々が穏やかに暮らしてきたのは、国民全体の教育レベルの高さと無関係ではないと思っています。
努力は報われると信じられればこそ生み出される力があったはずです。

景気が悪くても、若者が就職できなくても、「消費税増税」という打ち出の小槌さえあれば税収は確保できるでしょう。
でもその先に広がるのは荒れ果てた未来かも知れません。
資源の少ないこの国では教育予算はやはり必要な投資だと信じています。



   

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