飲み薬ではどうにもならず、抗生剤の点滴、果ては入院が必要なケースが相次いでいます。
その原因の主なものとして、ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)という細菌が問題になっています。
その名の通り、肺炎を起こす菌であり、中耳炎や、恐ろしい髄膜炎の原因にもなります。
MRSA(メチシリン耐性ブドウ球菌)は有名にですが、小児科医にとっては、こちらの方がずっと恐ろしい菌です。
ここ3〜4年ほど、子どもの鼻やのどの培養から検出されるようになりました。
なぜ、そんなことが起きているのでしょう。もともと肺炎球菌は、感染症の原因としてはありふれたものでした。
古典的なペニシリン系の薬がよく効いて、抗生剤の登場以来、子どもの命を奪っていたことも忘れそうなくらいでした。
原因としては、二つ考えられます。一つは抗生剤の濫用です。
最近の抗生剤は、広域にいろんな細菌に効くものが主流になっています。
子どもの発熱では、ウイルス感染が疑われても、抗生剤が処方されることがどうしても多くなります。
広域に効く抗生剤を漫然と使用すると、耐性菌が増えるのです。
もう一つは保育所を中心とした乳幼児の集団生活によるものが大きそうです。
きちんと病気が治らないうちに、登園している例が多くなっています。
この不景気ですから、休みが多くなると、簡単に職を失ってしまうのです。
育児休職制度も、きちんと取れる職場は限られていて、産休明けから預けられる子どもは減っていません。
保育師の皆さんの奮闘には敬意を表しますが、免疫的に未成熟な低年齢から集団保育に入ることは、医者の目から見れば、あまり好ましくありません。
乳児の保育は保育者1人につき3人程度のユニットが良いと思います。
大規模の保育では、保育者と子どもの人数比が同じでも心身に負担がかかります。
保育園のあり方は延長保育、病児保育と親の側(雇用者側)の意向を優先する方向で進んできました。
さらに、待機児童を減らすために、保育所の定員を上乗せさせる指導になっています。
保育所の健診をしていると数年前より子どもたちが不安定になってきているのが気になります。
少子化を憂える今、子どもたちを健やかに育てるために、この路線のままでいいのか疑問に思うことばかりです。
育児支援を言いながら、行政の発想に何か貧しいものを感じます。
小さな小さな細菌たちは、そっと警告を与えているのではないでしょうか。