★子育て★連載コラム   第27回

ウイルス物語2 麻疹

                            坂総合病院  渡辺瑞香子

 

 麻疹の特徴

 最近、また麻疹(はしか)が流行しています。子どもだけではなく大人の麻疹も増えています。
子どもの病気というイメージが強いですが、免疫がなければ大人も当然かかります。

お母さんが罹って、お子さんにうつすケースが、時々見られるようになりました。
麻疹ワクチンを受けておられず、流行にも接することがないまま大人になった方が増えてきたからだと
思います。

麻疹は非常に伝染力が強く、空気感染でもうつり、麻疹患者のいた部屋には2時間程度ウイルスが浮遊しているそうです。
潜伏期は約10日。咳・鼻水などのかぜ症状で始まり、高い熱が出ます。
発疹は初めにはなくて、3〜4日経ってから出てきます。発疹が黒ずんで熱が下がるまで、さらに1週間程度かかります。


 動物と人間の関係から

 かつて麻疹は「命定め」と呼ばれていました。麻疹を乗り越えた子はこの世で生き抜いていけるという意味なのでしょう。
今でも麻疹は子どもにとって重い病気の一つであることに変わりはなく、特効薬もないことから、毎年数万人ほどの発症があり、約50人の方が亡くなっています。

インフルエンザに比べても怖い病気と言えます。
麻疹ウイルスはパラミクソウイルスの一種ですが、牛のリンダーペストウイルスに最も近く、牛と人が密接して生活するようになってから生まれたのではないかと考えられています。


 症状と合併症

 麻疹という病気は合併症が特別なくても、7日〜10日程度の間高い熱が出ます。
咳がひどく、下痢などもおきます。食欲がなくなって、水分も十分取れなければ脱水症になってしまいます。
肺炎、中耳炎、脳炎などの合併症がしばしば見られ、肺炎や脳炎になると治療も大変です。

最近は少なくなりましたが、「内攻」とは突然発疹が引いた後ショック状態に陥る病態ですし、「むらさきはしか」とは出血性の麻疹であり、どちらも致死的です。

昔ほど死亡率が高くなくなった理由は、栄養状態の改善、点滴や抗生剤などの進歩によって合併症と戦えるようになったからだと思います。発症はきわめてまれですが、多発性硬化性全脳炎(SSPE)といって麻疹に罹った数年後に発症する進行性の悲惨な病気も知られています。

 対応策として

 現在、麻疹から子どもを守る最善の方法はワクチンです。インフルエンザと違って、とても優秀なワクチンです。
ワクチンをしていても長く経過すると抗体価が低くなって、麻疹に罹ることもあります。

それでも、軽く済むのです。接種率が95%まで上がれば、流行も防げるのですが、日本では70%程度で推移しています。アメリカでは2回の接種が行われており、発症率はきわめて低くなっています。

今や日本は麻疹の輸出国として非難される有様です。
日本では7歳5ヶ月までに1回受けるようになっていますが、厚生労働省はできるだけ1歳3ヶ月までに受けるように提言を出しました。
将来2回接種になることを期待しつつ、早めに接種が終わるように、気を配ってあげたいと思います。




   

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