★子育て★連載コラム   第24回

またまたインフルエンザの話

                            坂総合病院  渡辺瑞香子

 

 特効薬の処方

 今年もインフルエンザが流行しています。中規模の流行ですが、おそらく「特効薬」が品
薄になったという情報のために患者さんたちの反応が少し過剰な印象を受けました。
患者さんが特効薬のある病院を求めて移動することもあったようです。

早く治療を開始したいという思いからなのでしょうが、熱が出てからあまりに短時間で来院さ
れるため検査でひっかけられないケースもありました。

検査の精度は年々向上していますが、10%程度偽陰性があり決して完全ではありません。
そして私の勤務先でも例に漏れず、薬の入荷がなくて綱渡りの状態が続いています。
重症になる危険のあるお子さんを中心に処方したいのですが、選んで処方するとなると
現実にはかなり難しいことになります。

 インフルエンザの印象

 昨年12号に書いたとおりインフルエンザは紀元前412年すでにヒポクラテスの時代に記
載されているような古くからある病気です。

人間は、長いことこの病気と戦い続けてきました。
私たちが元気で暮らしているということは、インフルエンザに負けていない証拠なのです。
にもかかわらず、親御さんたちは、最近はやり始めた怖い病気であるという印象を持っ
ておられます。

連日のように新聞やTVでインフルエンザのことが取り上げられます。
確かにお年寄りや幼児を含め抵抗力の弱い人には脅威です。
それでも少し「死」が強調されすぎているように思います。
ほとんどの人は何事もなく治ることを忘れないでほしいですね。


 ワクチンと脳炎・脳症の関係

 インフルエンザの流行期に、小児の脳炎・脳症が目立ち始めたのは、10数年前にさかの
ぼる様に記憶しています。
ある年などは1ヶ月に5人も救急車で子どもが運ばれてきました。

特定の解熱剤との関連の疑いは2号と12号で触れたとおりです。
ワクチンをしなくなってから、脳炎が増加したという意見もあります。
私は疑問に思いますが。かつて全粒子ワクチンが使用された頃、副作用が多発し、3歳未満
に対する接種は原則中止となりました。

HA ワクチンという副作用の少ないものに変更になってからも、ワクチン接種の主体は小中
学生であり、脳炎が発症しやすい幼児に対する接種の実績は最近まで少なかったからです。
脳炎・脳症の解明が進み、安心して暮らせる日が早く来るといいのですが。


 看病の重要性

 抗インフルエンザ薬として、飲み薬が2種類、吸入薬が1種類あります。
確かに効果は高く、発熱の期間が短縮されます。
しかし、薬があまり効かない例もありましたし、副作用も見られます。

熱が早く下がり、病気が治っていない状態で仕事や学校に復帰してしまうので、回復期の経
過が長引くという意見もあります。薬剤耐性のウイルスの出現も心配です。

インフルエンザの治療は薬がすべてではありません。
日ごろの不摂生はやはり病気を重くします。
熱が出た時の看病は、脱水を防ぐために水分をこまめにとらせたり、冷やしたりすることが
大切なのです。

子どもの時、夜中でも何度も額のタオルを交換してもらい、おかゆやりんごのすりおろしなど
で食欲のない時期を過ごしたものです。
最近看病のノウハウが若い人たちに伝わっていないように思います。
小児科医の仕事、まだまだ減りそうもありません。




   

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