★子育て★連載コラム

おんぶ大好き
坂総合病院 渡辺 瑞香子
ささやかな依頼
娘が小さかった頃、たびたび耳鼻科に通院しました。1歳になる前に初めて中耳炎に罹り、
その後も何度か繰り返したのです。3〜4歳の頃だったでしょうか、決まって娘はこう聞き
ました。「お母さん、疲れてる?」「疲れてないよ。疲れたの?」と問い返すと、小さくうな
づくのでした。実はおんぶのおねだりなのです。3人兄弟の真ん中である彼女は、弟のよう
には甘えられず、兄のようには大きな顔もできず、いつも一番気を使っていました。気兼ね
なく母親を独占でき、自分の存在を確認するささやかな時間だったというわけです。
子どもの『悟り』
近頃は、子どもをおんぶするお母さんをあまり見かけなくなったような気がします。私は
もっぱらおんぶでした。両手が自由になって、前抱きのように足元が見えない怖さもなく安
心感がありました。保育園の帰り、寄り道して時間がかかる兄をおぶい、娘を抱いて、荷物
を担いだこともありました。夜泣きが止まなくてずっとおんぶしたことも、今は懐かしい思
い出です。私の背中にご飯粒がついていたこともありましたね。子どもをおぶう時に背あて
をつけて着るコートは今でもあるのでしょうか。おんぶを卒業したのは、末っ子をおぶい、
保育所の階段の扉の鍵をかけようとして、バランスを崩して落ちた後でした。4歳頃のこと
で、その事件以降、おんぶをねだらなくなりました。親の限界を悟ったのかな?
バギーの安全度は?
バギーはあまり使っていなくて、活躍したのは保育園の送り迎えが3人になった時でし
た。バギーを使うと、段差や傾斜が気になります。家から保育所までの道は狭くて、歩道は
整備されず、交通量も多く、毎日緊張しながら通いました。長男は嫌がって、立ち上がって
しまったため、出産祝いに頂いたバギーは、使わずにしばらく物置にしまっていました。立
ち上がったためにバギーごと転倒して、頭を打撲して受診する子がいます。電車にバギーを
広げたまま子どもを乗せているお母さんがいた時は冷や冷やしました。ブレーキをかけてい
ても危ないと思います。車椅子と同じ配慮が必要です。子どもを抱いているお母さんがいて
も、席を譲ってくれる人が少ないから、そういうことになるのでしょうか。
ふれあう『子育て』
少し寒い日も、おんぶなら安心して外を歩けます。ぬくもりが心地よく、子どもとの目の
高さが同じになって、世界が共有できる感じです。抱っこにしろ、おんぶにしろ、体がくっ
ついていることは子どもを安心させるだけではありません。親の気持ちも溶かしていくよう
に思います。ベビーキャリー(出かけたときに赤ちゃんを一時的に寝かせるもので運ぶよう
にはできていません)に赤ちゃんを乗せてぶら下げている人を見かけますが、危険さに気づ
かないだけではなく、体が触れる感覚を求めないことに不思議な気がしました。子どもが親
にまとわりついてくれるのはわずかな期間です。もっと子育てを楽しみませんか。
