★子育て★連載コラム

どうする?日本の小児科医療
坂総合病院 渡辺 瑞香子
医療連携の大切さ
一関で、8ヶ月のお子さんが、夜間十分な医療を受けられずに亡くなりました。新聞の記事を読む限りは、助かるはずの命だったように思います。そのお子さんの診療に携わった眼科の医師は、最善を尽くされました。問題は、入院を必要とする場合の医療連携です。
たとえば、複数の小児科医のいる磐井病院に連絡を取るルートがあれば、ただちに治療が開始できたかも知れません。もっとも、地域としての小児科医の数が6人だけでは夜間休日の診療を保障することはかなり困難ですが。もし病状が重く、ICU
での管理が必要と判断されれば、盛岡か仙台まで転送しなければならないようです(一関の事情を知る当院の医師から聞いた話です)。幼い子どもを抱えて安心して暮らせる場所は限られてしまいますね。
消え行く小児科
河北新報にも連載されたように、病院から小児科が消えています。この現象は都市部も周辺も例外なく見られています。使用する薬の量や種類が少なく、検査も限られているため、小児科の診療報酬は低いのです。また看護師を多く必要として人件費もかさみ、“不採算”部門とされます。「必要悪」と言う他科の医師さえいます。ゆえに、小児科医のモチベーションは低下していくのです。その上、少子化の影響で将来性を不安視するのか、産婦人科ともども医学生の小児科の希望者は少なく、毎年300人台です。各都道府県に均等に分けられても、一県7〜8人の計算ですが、首都圏に偏るので、地方ではもっと少なくなります。
驚くべき現状
少子化と言っても、核家族が当然の今、小児科の需要が減っているわけではありません。孤立した育児をしているお母さんの不安への対応など新しい問題を抱えています。時間外の受診が以前より増えているという報告もあり、労働量は増して、勤務医を辞める理由になっていると思います。いずれセンター的な病院と開業医(家庭医)という、二極に再編成されていくのではないでしょうか。患者さんにとっては必ずしも好ましい変化とは言えませんが、小児科を持つ病院に何らかの優遇措置などがないと、この流れは変わらないでしょう。
私が参加している小児科医のメーリングリストの中に、驚くようなことが書いてありました。東京には今約4000人の小児科医がいるそうです。けれどもそのうち約1300人は70歳以上で数年後は小児科医が激減するというのです。小児科医の平均年齢は57歳(全科の医師の平均年齢は43歳)だそうです。高齢の小児科医とは、大半が開業医の先生ですから、近い将来、他科の先生たちが子ども達のプライマリケアを担う割合が大きくなるということです。東京でも事態は深刻でした。身体的にも精神的にも負担の大きい小児科を医学生たちは避け、増加する見通しはありません。効率や稼ぎ高ばかりを追求してきたツケでしょう。
今後の医療
小児科医が足りないなら、内科医が小児科の研修も受けて、診療すればいいとの意見もありますが、現実はすでにその方向に向かっていると言えます。小児科専門医を多く育てるためには時間もお金もかかります。10年先、20年先を考えた時、安易な方向に流されてもいいものでしょうか。日本の小児科医療が後退しないことを祈るばかりです。
