夏の心得U


      坂総合病院 渡辺 瑞香子


 熱中症の恐ろしさ

 暑い日が続きます。35度以上になる日もあれば、極端に涼しい日もあり、消耗しますね。今年も熱中症により亡くなる方が出ているようです。お年寄り、作業中の方、スポーツの練習中の学生などの事故が多いと思います。なかなか熱中症の恐ろしさが理解されないようです。単なる疲労や脱水状態ではないのですが…。最終的な病態は、体温調節障害と多臓器不全(脳、肝臓、腎臓、血液凝固系など重要臓器の障害)であり、死亡率が非常に高いものだとご理解ください。


 夏の部活動

 我が家の高校生と中学生は毎日のように部活の練習です。夏の暑いときに長時間練習することにどれだけの効果があるのかはなはだ疑問です。基礎体力がない一年生も上級生も同じような練習メニューであることも理解できません。長男の高校の弓道場は風通しが悪く、かなり蒸し暑いようです。長女は朝2時間の駅伝の練習の後、さらに半日ソフトボールの練習です。親としては気が気ではないところです。長男は適当にサボって、体力を維持しているようですし、長女はひたすら寝ています。凍らせて持っていくパック入りのスポーツ飲料が水分の補給だけでなく、冷やすための小道具としても役立っています。


 熱中症の予防と対策

 熱中症の危険度は気温と湿度の兼ね合いで決まります。気温がさほどでなくても湿度が高ければ、汗の蒸発が抑えられ、体温が上昇する危険性が高くなります。気温が35度以上になったら、練習はやめるべきです。昨年カンザスシティー(夏は40度近い)のNFLの選手が亡くなりました。鍛えられたプロスポーツの選手であっても、極端な環境は危険なのです。さすがに今は、練習中に水も飲ませない指導者はいないと思いますが、適度な休息と、時間ごとの水分摂取の指導は重要です。本人の意志に任せるだけでは水分補給が遅れることがあるからです。また、運動を始める30分ほど前には水分補給をしておくと予防になります。


 熱中症の危険信号

 めまいや吐き気を訴えたら、要注意です。もしも適切な処置が施されなければ、短時間で重篤な状態に陥ることがあります。涼しいところに運び、足を心臓より高く挙げて寝かせ、クーリングし、意識があれば水分補給をさせます。冷やしたスポーツドリンクや0.9%程度の食塩水(水500mlに食塩5g)などを必ず用意しておきましょう。意識がない、言動がおかしい、脈が弱いなどの時は直ちに病院に運んでください。最悪の場合現場で蘇生術を必要とするかもしれません。気道確保(頭部後屈、下顎挙上)、人工呼吸(最初2回は1.5〜2秒程度にゆっくり、続けるときは10〜20回/分、口対口で鼻はつまむ)、心マッサージ(胸骨の下半分を両手で80〜100回/分圧迫する、人工呼吸とは5:1または15:2の割合)を―8歳以上〜成人の場合。軽症に思えても、医療機関の受診は必ずして下さい。