この国の生命線


      坂総合病院 渡辺 瑞香子


 元気の出る企画

 先日のプロジェクトXで、デジタルカメラ開発時のエピソードを取り上げていました。毎回見ているわけではないのですが、元気が出る企画だと思っています。恥ずかしい話ですが、デジタルカメラの技術が日本のものであったことを初めて知りました。価値を知らずに、そのメーカーの初期の機種を持っていましたが、最近壊れてしまいました。あまり使わなかったものですから、申し訳ない気分になりました。

 国を支える「ものづくり」

 今では、報道写真もリアルタイムで送れ、翌日の新聞に最新のものを使えるそうで、驚きです。デジタルカメラのシェアはフィルム式カメラを抜いたとか。パソコンにデータ転送することを前提に開発し、軽量小型化や画像の質にもこだわり続けた賜物なのですね。この国を支えているものは、「ものづくり」に対するこだわりや姿勢の中に見つけられると思うのです。

 ゆとり教育とは

 さて、今年教育制度が大きく変わろうとしています。文部科学省がゆとりの教育を打ち出し、うちの小6と中1の教科書はずいぶんと内容が薄くなっていました。今までは早い時期にたくさんの課題を詰め込みすぎて、小学校高学年にもなると生徒の3割しか内容を理解していないと言われていたのですが。ゆとり教育への不安や不満が大きいらしく、補習や宿題を薦めるような発言もして、文部科学省自体が迷走しています。

 日本の現実

 カリキュラムを緩やかなものに変えたとしてもゆとりが生まれるとは限りません。なぜなら大学受験という関門の通過は楽になってはいないからです。就職の時に出身大学で差がつく傾向もなくなったわけではありません。結局は塾などの教育産業がさらに成長するだけでしょう。
家庭の教育力と言いますが、残念ながら経済力や親の教養と無関係ではありません。生まれや家庭層などにかかわりなく能力、適性、意欲に応じて平等に教育の機会が保障されるべき―教育の機会均等の理念は、日本の活力になっていたと思います。けれども今回の教育改革は、教育の中に貧富の差を持ち込む危険性さえ持っています。

この国の力は衰えるかもしれません。もっともシステムやマニュアルが人を育てるわけではありません。人を育てるのは人の力です。子どもの力は興味と喜びの中から湧いてきます。

  真の姿

 「光る泥だんご」のことをご存知でしょうか。泥だんごをまん丸にピカピカに磨いていくのです。何かの役に立つからではなく、自分の泥だんごができるのがうれしくて、子どもは夢中になるのです。名人(京都教育大加用教授)の泥だんごより自分の泥だんごが一番。それがその子のプライドでしょう。子どもたちの内に秘めた力を信じたいと思います。