スギ花粉をめぐって
坂総合病院 渡辺 瑞香子
黄砂とスギ花粉
今年の冬は気温が高く、雪も少なかったですね。中国大陸でも同じ傾向だったようで、皆さんご存知のように「黄砂」が多く降りました。ちょうど、スギ花粉の飛散の時期と重なり、さすがにのどがいがらっぽい感じがしました。今年は数年ぶりで花粉の飛散量が多かったそうです。花粉のできる雄花は7月のはじめ頃から作られますが、この頃に日照りが続き、雨が少ないと花芽がたくさんできるのです。今年は症状のひどい方が多かったのではないでしょうか。スギなどの風によって花粉を運ぶ植物は、虫などが花粉を運ぶ植物よりも多量の花粉をつくり、遠くまで運ばれるので花粉症の原因になりやすいと考えられています。花粉症の患者さんの半数以上はスギ花粉が原因であると思われます。スギ林の面積は全国の森林の18%、国土の12%を占めているそうです。飛散の時期はおよそ2月から5月の間です。
メガネやマスクは有効な対策
対策として市販の花粉症用メガネやマスクが有効です。メガネは、花粉が眼に侵入する花粉を減らし、通常の約10‐20%にして症状の発現を抑えるとの報告があります。通常のメガネ使用だけでも眼に入る花粉量は半分以下になるそうです。マスクも通常のものに湿ったガーゼを挟むだけでも効果があるそうです。通常のマスクでは鼻に入る花粉数はマスクをしないときの約1/3になり、花粉症用のマスクでは約1/5になるとの報告があります。
予防的治療が効果的
対症療法として、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬などの内服や点鼻、点眼、そして局所ステロイド薬の点鼻、点眼が組み合わせられます。上手に使い分ければ約7〜8割の花粉症患者さんが副作用も少なく、症状がほとんど出現せずに過ごせることが分かっています。飛散開始2週間ほど前より投与を始める予防的治療が効果的です。特に症状の重い方には減感作療法も考えられます。これは花粉の抽出液を少しずつ濃度を上げて注射し、身体を花粉に慣らす(花粉に対して防御する免疫を獲得させる)ようにする治療法です。治療施設は限られるようですが。
食生活やストレスも原因に
最近の研究によると花粉症を悪化させている可能性があるものとして空気中の汚染物質の影響やストレス、食生活の問題などが考えられています。大気汚染の例としては、動物実験などから排気ガスに含まれる微粒子(DEP)がスギに対する抗体の産生を増加させ、スギ花粉に対して過敏性が強くなると指摘されています。もう一つの大気汚染物質であるNO2に関してもDEPと同様に花粉症の増悪作用があるとの報告があります。最近スギ花粉が乳児のアトピー性皮膚炎の悪化の原因になっているという報告もあり、話題は尽きません。新しい研究成果が待たれます。