桜咲く日に 〜受験を終えて〜
長町病院小児科 渡辺 瑞香子
長男の高校受験
桜前線の北上が早く、観測史上最速の開花宣言だそうです。3月末に仙台で桜が咲くなんて!今年も4月、新しい生活の始まりの月です。期待に胸を弾ませているのではないでしょうか。さて、今年は長男も高校受験でした。親も初めての受験とあって、緊張の連続でした。私は宮城県出身ではないものですから、こちらの受験事情がさっぱり飲み込めませんでした。私の故郷は雪国の田舎でして、高校は複数ありましたが、「進学校」でも倍率はせいぜい1.2倍程度で、中学の成績で入る高校が自動的に決まってしまう感じでした。宮城県の高校の倍率は信じられません。こちらのように、私立を2つと公立を受けるのが当然という「常識」には今でもついていけません。
親ができること、できないこと
普段は通信票や試験の成績に関心を示さない夫でしたが、受験にあたって、息子の実力をほぼ正確に把握していたのには、驚きました。進路を決める時に、息子と私との間にはちょっと波風も立ちました。夫に自分の希望をきちんと話せたのかどうか。最終的に担任の先生や塾の先生のアドバイスを受けて自分で考えて決めていました。どうにか目標を達成した息子を頼もしい思いで、遠巻きに見ています。どれほど歯がゆくても、親にしてやれることは多くはなかったと思います。いくらかでも美味しいものを食べてもらうとか、健康管理に気をつけるとか、「後方支援」に尽きました。
教師になれない親
実を言うと、2年生になる春休み、不本意ながら、塾に通わせることにしました。1年間英語の授業を受けながら、枠組みが全く理解できていなくて愕然としたからです。授業参観に行ってみると、会話に比重が置かれていて、私の中学生時代とは随分と違っていました。息子は英語を学ぶことさえ拒否しそうな気配でした。でも親は教師にはなれません。他人の手にゆだねた方がよいと割り切ることにしました。あの頃は長男の気持ちも荒れていたようで(教科書やプリントが足の踏み場もないほど積まれていた)、どう接するのがいいのか迷っておりました。今考えると文化部から運動部へ変更したこともあり、目いっぱいだったのではないかと思います。
受験の重圧
受験が近くなって、中3の患者さんが来ると、とても気になりました。試験のストレスで、点滴になるような気の毒なお子さんもいました。普段は口数が少ない長男は、やたらに饒舌になってまつわりついてきました。聞くとやはり「不安」が強いのです。試験の前夜、塾の先生からかかってきた励ましの電話は、ビジネスとは言え、大変ありがたいものでした。緊張した顔が、すっと憑き物が落ちるように、明るい表情になりましたから。成長するにつれ、家族以外の人の支えが必要になるものなのですね。多くの人に見守られて生きていることに感謝したいと思います。
4月から、塩釜の坂病院に転勤しました。長町の住人ではなくなりますが、引き続き、「子育てまざらいん」を担当させていただくことになりました。